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モータージャーナリスト先川知香さんが観たiBのほんとうの姿

 
 
2020.08/17

 先川知香さんが観たiBのほんとうの姿  第9回

未来志向の内燃機屋さん「井上ボーリング」では、いったいどのような人たちが、どんな仕事をしているのでしょうか。実際に、インタビューをさせて頂きました。
 
インタビュー9人目は、取締役の井上 尚子さんです。

取締役 井上 尚子(いのうえ なおこ)さん



井上ボーリング取締役でもあり、社長の奥様でもある尚子さんは、会社では経理や総務を担当しています。
私が尚子さんと初めて会ったのは、まだ IB Ladyをしていた頃で、第一印象は昭和の日本のお嫁さん。三歩下がって内助の功で夫を支えるような、控えめで物静かなイメージでした。
 
しかし、会うごとにその印象は変わっていきます。と言っても、物静かというイメージは変っていないのですが、今の印象は肝っ玉母さん。どんなことがあっても、だいたいのことは笑い飛ばせてしまうような懐の深い女性です。

 
そんな尚子さんが井上社長と出会ったのは、大学で所属した水上スキーサークルでした。
 
大学卒業後は旭光学工業、現在のリコーイメージングに就職。カメラの「 PENTAX」を作っているメーカーで、全国の営業所をまとめる業務を担当していたそうです。
 
そして約 3年半もの間、本社 営業部 係長補佐として、全国の営業所へ商品の配送を手配する業務などをおこなう、バリバリのキャリアウーマンとして働きました。
 
しかし、出産を機に退社。そこからは、専業主婦として井上社長を支え続けます。
その後、お子さんがある程度成長したことと、勤めていた女性社員が退社することをきっかけに井上ボーリングに入社。
 
今では会社の経理など重要な業務を一手に引き受けている尚子さんですが、それまで経理や総務などの勉強をしたことは一切無く、独学で学びながら税理士や労務士と連携し、なんとか現在の状態を作り上げたそうです。
 

 
「私は、仕事もプライベートも社長と一緒なので、例えば、夫婦喧嘩をしてしまうと仕事に影響があったり、仕事で何かあるとプライベートにひきずってしまったり。入社した当時は、それを調整するのがすごく難しかったですね。
 
でも、今の経理や総務などの仕事が、自分に合っていると感じるんです。
自分は、アイデアを出して何かを作り出すようなクリエイティブなタイプではないので、誰かの補佐をして、その人が仕事をしやすい環境を作ることが自分には合っているし、すごくやり易い仕事の形だと思っています。
 
だから、専業主婦をしていた時も、社長のプライベートをサポートする事が自分に合っていると感じたし、今は会社では社長の仕事をやり易くするためのサポート、プライベートでは、例えば健康面などをサポートしています。
 
24時間一緒にいるということは、もちろんマイナスな面もありますが、仕事とプライベートをトータルでサポートできるという意味では、とてもいい環境だと思います。」
 
 
 
経理や総務だけでなく、専業主婦もすべて「社長をサポートする仕事」。私は、この尚子さんの言葉にハッとさせられました。
尚子さんというプロの専属サポーターが付いているからこそ、井上社長は自身の自由な発想に、失敗を恐れることなく挑戦することができるのです。
 
クリエイティブな井上社長と、サポートのプロと言っても過言ではない尚子さん。これまで話を聞いてきた社員さんにも共通する、欲しい時に欲しい人材が現れるという井上ボーリングの奇跡的な縁は、社長と尚子さんが出会ったところから、もう既に始まっていたのです。
 
 
 
私はそんな尚子さんに以前から、どうしても聞いてみたいことがありました。
「社長の自由すぎる発想は、どれもワクワクすることばかりですが、仮に失敗してしまうと、リアルに生活に直結する尚子さんの立場としては、見ていて不安を感じることはありませんか?」
「不安は一切感じないと言えば嘘になりますが、知り合った頃から、言ったことは実現させるんです。
だから私も、これはきっと言った通りになるんだろうな~っていうのが何となくわかるようになってきました。
結婚を決めたのも、そうやっていろんな事を実現させていく姿を見られるのが、面白いなと思ったからなので。」
 
私は、尚子さんのこの回答を、心の底から羨ましいと思いました。
何故なら、その結婚理由は私の理想そのもので、私もワクワクさせてくれる人と結婚したいと思うからです。
 
以前からとても仲がよく、素敵な夫婦だと思ってはいましたが、尚子さんの話を聞いて、さらに理想の夫婦にランクアップ ! この関係こそが、井上ボーリングの生み出す新しい技術や商品のベースとなっているのです。
 

 
そしてもう 1つ、尚子さんの話を聞いて気付いたことがあります。
それは、サポートという仕事の重要性。一般的に、表に出ている人に比べて、いくらでも代わりが居ると思われがちなサポート職ですが、誇りをもってその業務をおこなえば、サポートされる側の結果が大きく変わるという事実。
 
これは、仮に夫婦という立場ではなかったとしても、自分の成功を信じてくれるサポーターが一番近くにいる事が、すべてを成功に導く力になっていることは間違いありません。
信じてくれる人がいるから、何事も思いっきりやれるのです。
 
「だから、社長は家事を一切しないんです(笑)育児も家事も 90%ぐらい、私がやっています。」
特に大事なのは、こういう一言。ただ、任されたことを黙って当たり前にやるのではなく、ハッキリと思ったことを言える関係性こそが、プロサポーターの証です。
 
こうして尚子さんは、社長に立ち止まって冷静に考えるきっかけを作り、その発想をさらにしっかりとした形に成長させるための重要な存在となっています。
 
「でも、社長はいろんなことを 24時間考えているので、起きてすぐに、夢の中で考えたんだけどねっという話をされると、さすがに戸惑いますけどね(笑)」
 
クリエイティブな仕事は向いていないから、サポート職でいいやではなく、私はサポート職がやりたいと信念を持って井上社長を全力でサポートする尚子さん。そんな尚子さんが、実は一番チャレンジャーなのかもしれないと感じた今回のインタビュー。
 
「こうなりたいとか、未来のビジョンが無いと会社はダメだと思うんです。
社長はずっとそれを持ち続けていて、いろんな新しいことに挑戦していくので、どんどん変化していくし、働いていてすごく遣り甲斐がある楽しい会社だと思います。」
 
 
 

 

文/モータージャーナリスト 先川 知香