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モータージャーナリスト先川知香さんが観たiBのほんとうの姿

 
 
2020.07/09

 先川知香さんが観たiBのほんとうの姿  第8回

未来志向の内燃機屋さん「井上ボーリング」では、いったいどのような人たちが、どんな仕事をしているのでしょうか。実際に、インタビューをさせて頂きました。
 
インタビュー8人目は、NC旋盤を担当する松坂 慎祐さんです。

NC旋盤担当 松坂 慎祐(まつざか しんすけ)さん



松阪さんが現在担当しているNC旋盤は、ICBMや鋳鉄スリーブサービスをメインに、燃焼室の加工など、汎用旋盤ではできない形状の再現をする工程です。
 
例えば、シリンダースリーブをオーバーサイズにしたいけど、既存のスリーブでは厚みが足りないために太くしてほしいという依頼に対し、肉厚のシリンダーを削り出したり、逆にオーバーサイズにしたけど、元に戻したいというユーザーに対しては、元のサイズのスリーブを復元するといった業務を担当しています。
 
さらに、現在の井上ボーリングの主力商品である、スリーブをアルミメッキ化することで、旧車のエンジントラブルを無くす「ICBM」の要となるアルミスリーブの生産効率をアップさせる事にも尽力し続けているそうです。

 
「各メーカーのスリーブ形状の違いがとても興味深く、例えば 80 年代のヤマハはこういう風に考えてエンジンを作っていたんだな、などの事実を知っていく事に楽しみを感じています。
私自身、刹那に生きている人間なので、 1 日や 1 か月など目先の短いスパンでしか物事を考えられないので、まずは、この会社をもっと有名にして、社長の夢を叶えるお手伝いをさせて頂きたいです。
そして、私自身が技術を抱え込むことは良くないと思っているので、技術を他の人に伝達できるような基盤が作っていければいいなと考えています。」
 

 
入社以前は大型トラックの試作部品のテスト業務を担当していた松坂さんは、モノづくりがしたいという想いから転職を決意。
工作機械を使ったもの作りができる企業をメインに、いくつか面接を受けていくうちに、井上ボーリングに出会いました。
 
そして、面接で会社の雰囲気や設備を実際に見たことで、自分の理想のモノづくりができる環境だと確信し、強く入社を希望したそうです。
 
 
 
そんな松坂さんは元々、バイクとは無縁の生活を送っていたそうで、求人で初めて井上ボーリングの存在を知ったという、社員のなかでは異色の存在。
 
しかし、バイクのエンジンに関わる仕事をするからには、その楽しさを知らなくてはと、入社後にバイクを購入し、今では同僚とツーリングを楽しんでいます。
 
「バイクは、乗り物というよりファッションの一部という感覚です。
そして、バイクに乗ることは、とても素晴らしい体験で、インスピレーションを研ぎ澄ませることができると感じます。」
 

 
バイク好きだからこそ分かる、バイクを趣味に持つ仲間たちが求める新たな製品をどんどん生み出していく仲間達に囲まれた環境で、その素晴らしさを体感。
技術が途切れることなく受け継がれていくようにと、人を育てることに注力する松坂さんは、率先して様々なデータをキッチリとファイルにまとめ、井上ボーリングの技術を目に見える形で蓄積し続けています。
 
そして、その結果が安定した高い技術をユーザーに提供できる井上ボーリングの生産体制を作り、IBブランドが少しずつ、でも確実にユーザーに認知され、現在も成長し続けているのです。
 
 
 

 

文/モータージャーナリスト 先川 知香