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モータージャーナリスト先川知香さんが観たiBのほんとうの姿

 
 
2020.06/29

 先川知香さんが観たiBのほんとうの姿  第6回

未来志向の内燃機屋さん「井上ボーリング」では、いったいどのような人たちが、どんな仕事をしているのでしょうか。実際に、インタビューをさせて頂きました。
 
インタビュー6人目は、営業部長の大澤 薫さんです。

営業部長 大澤 薫(おおさわ かおる)さん



釣りやキャンプなどのアウトドアが大好きな大澤さんの前職は、キャンプ用品店の販売員。約 15 年勤務するも、配属先の変更を期に退社を決意したそうです。
 
そして漠然と、次の仕事探そうとハローワークに行き、お弁当屋さんの仕事を見つけて受付カウンターへ申し込みに行くと、そのカウンターで井上ボーリングの集団面接会の張り紙を発見。
 
以前、バイクのイベントへ遊びに行った時に、水素バイクを展示していた井上ボーリングブースに興味を持ち、いろいろと話を聞いた時の感動が強く残っていた大澤さんは、お弁当屋さんへの応募をやめ、井上ボーリングの集団面接を受けることに決めたそうです。

 
「前職でもそうだったのですが、自分の好きなことを仕事にしたいんですよ。
例えば、キャンプだったり釣りだったり、バイクだったりが好きな人のために仕事がしたい。
自分に、趣味や感性が近い人のために仕事がしたいというのが、自分の仕事への価値観なんです。
だから、バイク関係の仕事がしたいと思っていました。」
 
井上ボーリングの集団面接。私はその意外な言葉にかなり驚きましたが、当時、ハローワークからのアドバイスで 1 度だけ集団面接をおこなったことがあり、 30 人ほどの応募があったそうです。
就職氷河期と呼ばれていた時期で、そのなかでただひとり、採用されたのが大澤さんでした。
 
集団面接で募集していた人材は、営業担当。ここでも、運命を感じずにはいられません。
元々ショップ店員としてのキャリアが長く、接客のプロとも言える大澤さんが、井上ボーリングの営業を担当する。しかも大澤さんが希望する、自分と同じバイク好きのためにできる仕事です。
 
雇う側、雇われる側双方の希望が、すべて満たされる求人に出会える奇跡。そんな奇跡が、井上ボーリングの求人では、何度も何度もかなりの高確率で起きている。この事実こそが、井上ボーリングの魅力であり、斬新なアイデアが生まれる理由だと思いました。
 
「初めて井上ボーリングを知ったイベントで、展示されていた水素バイクの説明を、社長がかなり詳細にしてくれたんですよ。
その時の印象がとても良かったし、『すごい事をやっている内燃機の会社』という入社前のイメージは、入社してからも変わらないですね。」
 

 
そんな大澤さんの現在の仕事は営業部長。ボーリングやクランクの芯出しなどの受注が来ると、その受注の処理をするだけでなく、同時に一押し商品であるラビリンスや ICBM を提案。バイクショップ向けに、ダイレクトメールや電話での営業からフォローまで、キッチリとおこなっています。
 
そして、レースやイベント会場への出店、さらには本社工場でのイベントの企画・立案から運営まで幅広く担当。
井上ボーリングのブランディングや製品の認知度をさらに広げるために、日々試行錯誤しているそうです。
 
 
 
「例えばツーリングやバイクのイベントに行った先で、『実はこれ、井上ボーリングでやってもらったんだよ』という話を聞くと、すごく嬉しいんです。
だから、まだウチの ICBM やラビリンスを使ったことがないお客さんにもどんどん宣伝して、そういった出会いをもっと増やしていきたいと思っています。」
 
ほかにも、井上ボーリング独自の勤務形態である自由研究時間を使い、大好きなヤマハ SR のエンジンレスポンスを向上させるために、クランクを 2 ㎏軽量化。理想のバランスになるように、円形のクランクを少しずつ削っていき、美しい斧型を形成した『軽量斧型クランク』として、商品化を実現させました。
 
この、オシャレではあるものの、アンバランスに見える斧型のクランクですが、元の丸形と同様にスタティックバランスが取れているそうで、実際にこの斧型クランクが搭載された SR に乗ってみたことがあるのですが、加速していく中でのエンジンの吹け上がりが滑らかで、走るのがさらに快適で楽しく感じました。
 
ちなみに次は、 SR エンジンのヘッド周りで何か開発できないかと、画策中だそうです。
 
 
 
エンジニアとして働いているスタッフだけでなく、営業を担当する大澤さんまでも、会社の設備と技術をフルに利用して、自分の作りたいものを製品化レベルまで突き詰めて研究・開発することができる。
この『自由研究時間』は、仕事に楽しみをプラスしてくれるだけでなく、バイク好きならではの視点で開発された新製品がラインナップに加えられる、一石二鳥のシステムだったのです。
 
これは、どんな遊びも仕事に変えてしまう井上社長ならではの発想で、人生の大半を占める『仕事』を、『生きるためには、やるしかない事』から『楽しいこと』に変えてしまう。この環境こそが、井上ボーリングの魅力を作り上げているのだと感じました。
 
 
 

 

文/モータージャーナリスト 先川 知香