•  
                                                                                         

モータージャーナリスト先川知香さんが観たiBのほんとうの姿

 
 
2020.09/02

 先川知香さんが観たiBのほんとうの姿  第11回

前回から続く。
 
未来志向の内燃機屋さん「井上ボーリング」では、いったいどのような人たちが、どんな仕事をしているのでしょうか。実際に、インタビューをさせて頂きました。
 
インタビュー10人目は、社長の井上 壯太郎さんです。

代表取締役 井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)さん



そんな順風満帆とも言える時期に、先代から現在の井上社長に世代交代をするのですが、 2000年に 2ストエンジンの生産が終了。同時に、仕事も緩やかに減少傾向となってしまいます。
 
 
そこで改めてボーリング屋としての仕事を考えた時に、インターネットや宅配便が普及し始めたことで、ホームページで宣伝することを思いつき、日本全国からボーリング依頼が集まるようになったそうです。
 
「大企業の仕事と言うのは、ある時期を境に一瞬でなくなるんです。
僕はそれが嫌で、脱下請けをしようと考えた時に思いついたのが、インターネットと宅急便を使って全国からボーリングの仕事を集める方法でした。
 
そうすると、驚くべきことに気付いたんです。
大企業相手だとあらゆる点で先方が偉いので、金額面・品質面、すべてが言いなりの状態となっていたのですが、個人を相手に仕事をしてみると、値段・納期など、色々なことに融通が利くだけでなく、商品を納めた後にお礼状とか、鮭の缶詰めとかをいただいたりするんですよ。
それなら、こっちの方がいいじゃん!という話で、今の営業形態に切り替えていきました。
仕事をして納めたら、お礼を言ってもらえて、おまけにお金ももらった上に缶詰までもらえる訳だから、絶対にこっちの方がいいと思ったんです。(笑)
 
でも、そのためには自立しなくちゃいけない。広告宣伝もしなくちゃいけないし、どういう製品を作れば売れるかを考えなきゃいけない。
それがなかなか大変なのですが、でも上手くいったらこんなにも面白い事はないと思うんです。」
 
大手企業の下請けとして業績を立て直した井上社長が次に目指したのは「脱下請け」。自社だけで経営を成り立たせるというチャレンジでした。
 
そして、最初は個人が所有する 2ストエンジンのボーリング依頼をインターネットと宅配便を利用する方法で全国から集めることに成功し、ラビリンスシール「ラビリ  LABYRI®」やアルミメッキ化スリーブ「 ICBM®」などの新技術を生み出してきたのです。
 
そんな井上ボーリングという会社で働く人たちにインタビューをしてきて、私が一番気になったのが、なぜ求めている人材が集まってくるのかという疑問でした。
 

 
「それは、結果的には欲しいと思っていた人材が集まっているのですが、実は入社した瞬間から、その人にピッタリのポストがある訳ではないんです。
 
もちろん、入社前の面接でその人がどんな人で、どんなことがやりたいかは聞いていますが、入社直後は、とにかく空いているポジションに入ってもらいます。
 
ただうちは、水曜日の午後を社員全員自由研究の時間にしているので、毎週水曜日が来るたびに、従業員は『何がやりたいの?』って聞かれるわけですよ。
 
そして 1年ごとに、自分がこの会社で何がやりたいかを自分で決めないといけない。年中会社から『君は何がやりたいの?』って聞かれている状態になるんです。
 
そうすると、『会社というのは、自分がやりたいことを考えて自分でやるんだ』という考え方になっていくので、 2年から 3年が経つ頃には自分の会社でのポジションが生まれてくるんだと思います。
 
誰でも自分がやりたいことをやるのが一番楽しいし、一番詳しくもなるし、一番力が出るものです。
だからといって、すべてがそう上手くいくとは思っていませんが、できる限りやりたいことをやってもらいたいと思っています。」
 
自分の好きなことをやりたいようにやってきた社長だからこそ実現できる、「各自がやりたい事をやって欲しい」という想い。その気持ちが、進化し続ける内燃機屋としての井上ボーリングの今の形を作り上げていったのです。
 

 
iBは楽観的な世界観を持っていて、世界は 300年後までに必ずパラダイスになっていると確信しています。
 
この楽観論の根拠は、
・人類が必要とする以上の太陽エネルギーが、 50億年先まで無料で地球に降り注いでいること。
・そして人類はそれを使いやすい形に変換する技術を既に持っていて、これからさらにその効率が良くなっていくだろうこと。
・無料のエネルギーと機械や AI技術があれば、働かなくても人類が豊かに暮らせない理由はないと考えられること。
 
これらの事実を上手く利用すれば、あとはベーシックインカムなど、富を分配するシステムを上手に設計すればいいだけだと思うんです。
 
そして人類は既にパラダイスに向かって 6000年の歴史を刻んできて、今もその方向に進化し続けている真っ最中。我々はパラダイスが地上に実現するほんの直前の、過去の歴史のどの時代よりも進化して豊かな時代を、今生きています。
 
このような楽観的な世界観を広めるために iBは存在しているんです。
 
旧いオートバイ (ヴィンテージモーターサイクル )は、人類に必要不可欠で、 20世紀が我々に残してくれた『機械遺産』です。
 
人の肉体と精神を活性化し、他では得られないインスピレーションを与えてくれる『発想獲得マシン』であり、『移動の自由』という(植物ではなく動物である)人類にとって致命的な価値を最もプリミティブな形で与えてくれる、またがって走っていける『移動アート』です。
 
ヴィンテージモーターサイクルは適切なメンテナンスをしていけば、永遠にその機能を発揮することができます。
機械式時計やカメラなどと同様に、電子部品などでは実現できない機械メカニズムのみが実現する『永遠性』を持っているんです。
 
そのオートバイの『永遠性』に、 iBは貢献したい。
 
『エンジンで世界を笑顔に!』
『エンジンを愛するすべての方の、お役に立ちたい。』
 
これが、 iBが目指す理想です。」
 
 
 

 

文/モータージャーナリスト 先川 知香