How to MAKE The First BACK ROLL
初めてのバックロール 2
さて、すっかり更新が遅れてしまいました。いくつか「続きを期待している」という反応もいただきましたので、再開しますね。 今回はウェイクジャンプのやり方について解説したいと思います。あれ、まだロールの話にならないの?という人も多いでしょうけど、ロールのやり方を説明してもジャンプができて、わかってないと、説明もしにくいんですよ。それに、どんなトリックを練習するにしても、まずきちっとしたジャンプができないと仕方がないですからね。
ウェイクジャンプの種類
それではまずジャンプの種類です。ここでは便宜的にジャンプを3種類に分けて考えてみます。
1. どっかんジャンプ
これは、フルワイドから思いっきりマックスでカットして、そのまま最高にでかいジャンプをすることです。ボートの真横まで出ていってそこから思いきりボードを回し込んで、全身を倒し込んで全力でボートと綱引きをします。最初だけ強く引いてもダメ。そこからさらにどんどんエッジを強くするつもりでウェイクをカットし飛び上がるまで加速を続けて、最大のジャンプをします。
どっかんジャンプはたとえばレイリーやフーチーグライドをやるときに使います。その他でも「インプレッション・セッション」のようにショー的に大きな技を見せる時にはこの方法でやれば見栄えがしますね。でもトーナメントではここまでのフルジャンプはあまりしないでしょう。でも、ウェイクボードをやる以上でかいジャンプができなくては、ね。
2. 幅無しジャンプ
ショートアプローチジャンプのことです。このジャンプの目的はウェイクをリープする瞬間に最大のエッジを立てられるようにすることです。上のどっかんジャンプでも最後までエッジを立てるように努力するのですが、実際にはスピードが乗っていくと、ボードの食い込みも甘くなっていくし、伸び上がるためにどうしてもエッジが戻り気味になってしまいます。そこでウェイクのすぐそばからエッジを立てはじめてエッジが本当に食い込む頃にはウェイクを切り抜けてしまっているようなジャンプの仕方を練習するんです。
バックサイドバックロールにはこの方法を練習することが絶対に必要です。ウェイクのすぐわきからはじめてもきちっとエッジをかけられれば、飛ぶ瞬間にうんと加速するので、十分2ウェイク以上のジャンプはできます。
3. 中間ジャンプ
1と2のジャンプの中間のジャンプの総称です。実は一番使い道が多いのはこの中間ジャンプです。ほとんどのスノーボード系トリックやタントラム、ローテイショナルトリックではこの中間ジャンプでやります。中間ジャンプの特徴はテイクオフの瞬間に比較的エッジをフラットにして飛ぶことです。このことによって空中での姿勢のコントロールが楽になります。
ここではすべてのジャンプを便宜的に3つに分けてみましたが実際にはジャンプはライダーやトリックごとに千差万別、無数のバリエーションがあります。ワイドに出る量のちがいやエッジのコントロールの具合をマトリクス的にとらえてたくさんの分類をすることもできますが、話がややこしくなるので、簡単に3種類にしてみました。
ワイドさ エッジの強さ トリック
(ウェイクで)
1. どっかんジャンプ MAX MIDDLE レイリー、フーチー
2. 幅無しジャンプ MIN MAX バックロール
3. 中間ジャンプ MIDDLE MIN スノボ系、回転系、タントラなど
表にするとこういうことになりますが、このまた中間もあり得るし、エッジコントロールも単純に強い弱いだけでは言い切れないというのはお察しの通りです。ここでは用途別の大分類を行いました。それとバックロールの説明をする上で必要最低限の知識としてということですね。
ジャンプのやり方
それぞれの飛び方を詳しく説明すると長くなるので、バックロールに必要な幅無しジャンプについて主に説明します。
どっかんジャンプはとにかくでかいジャンプをする方法ですから、どんどんトライして大きなジャンプができるように頑張ってください。最大の加速を得ることとウェイクで最大のリフトを得ることがポイントです。
中間ジャンプはやろうとするトリックによって微妙にちがいますから、今後それぞれのトリックを説明する機会があればその時にまたお話ししましょう。
幅無しジャンプが持っている不思議な力(フォース)
幅無しジャンプは名前の通り、幅(ウェイクからの距離)を出ないことが特徴です。ボートによってウェイクの形状が違いますけれども、出る幅はボートのチャインから出るスプレイが落ちる範囲よりも内側までで止めてください。ウェイクから1メートルちょっとくらいです。
「え"!これじゃいくらなんでもエッジをたてる暇がないうちにウェイクについちゃう」と感じるくらい、ウェイクのすぐ脇です。
START POINT
ここからエッジングを始めると、ほんとうにエッジがしっかり立ったと思う頃にはウェイクの頂点に達してしまうわけです。これでこそ本当にボードが深く水に食い込んだ状態で、ウェイクをカットすることができるわけです。
また、幅無しジャンプの練習では、伸び上がる動作も大きくは行いません。高く上がろうとするとどうしても足をけり出して膝が伸びるので、エッジがゆるんでしまうのです。
もう一度言うと、ウェイクのすぐそばから、最大のエッジを立てて、伸び上がりもしないで、エッジの力だけで2ウェイクをとぶ。というのが幅無しジャンプの練習です。これはかなり極端な練習方法で、ロールがうまくできるようになってからはここまでの幅無しをすることは通常ありませんが、ロールを練習するときには、かならずやってみる必要があります。
はじめは、「こんなに近くからで、2ウェイクが飛べるんだろうか」と思うかもしれませんが、ちゃんとエッジを立てられるようになると、2ウェイクが飛び越せるだけでなく、スピードがちっとも速くないのにも関わらず、驚くほど高いジャンプがふわーっと飛べるようになります。
そしてさらにエッジを強くしていくと、どんなにボードの前を前足で押さえてちゃんと飛んでいるつもりでもボードが前上がりになり、空中で身体がうしろに遅れるのが避けられなくなります。これがまた、ただの下手なバランスが崩れたジャンプみたいでかっこわるいんですが、まあ高さはけっこうでているはずです。これはエッジが強くたっているため、テイクオフの瞬間にもボードが強く加速して前に出ようとしている証拠です。身体よりも前にボードが加速して出ていこうとするのです。実はこれがまさにバックロールへとつながる動きになるんです。身体でよけいな振り込みの動作を行わなくても、ボードがロールをしようと、前へ出ていってくれるのです。こんなに都合のよいパワーを利用しない手はありません。この力(フォース)を使えるようになるために、幅無しジャンプの練習をするんですね。
最初はこんな感じはなかなか掴めません。ただ、ショボいちいさなジャンプをやってるだけみたいで、地味なのでやめたくなるかもしれませんが、まあ、滑るたんびに5〜6回づつでもいいです。幅無しジャンプもにもトライしてみてください。そのうち、「あれ?今のなんだったんだろう!」という瞬間がやって来るはずです。その感覚を忘れないようにしてください。どういうときに、意外なほどのリフトがあったのか。次のような点に特に注意を払ってください。
1. その時エッジはどのようにしてたてましたか。
2. 身体のフォームはどんな感じになっていましたか。
3. ウェイクを越えるまでボードが水に食い込んでいたでしょう?
4. そして腕は最後までボートから強く引っ張られていたのを感じたはずです。
なお、エッジを立てる時ですが、すばやくエッジを立てようとボードの進行方向を無理に回し込むとこの感覚は得られません。素直にボードに角度を与えるだけでいいんです。
ロールができるために、最も重要なのは、間違いなく、この幅無しジャンプが持っている不思議な力(フォース)を使えるようになることです。ただ、闇雲にウェイクに突っ込んでいっては頭(背中)から落ちるのは笑いがとれる以外にメリットはありません。もし、あなたがほんとうにバックロールをできるようになりたいのなら、幅無しジャンプ(ショートアプローチ)をトライしてみることです。
それでは「フォースがあなたとともにありますように!」*(from "STAR WARS") 97.2/22
P.S.質問を歓迎します。わかりにくいところなどありましたら、補足しますのでメールをください。
Sotaro Inoue
井上 壮太郎
SOTAROS@ocean.or.jp戻る