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バイクを愛してしまったら、手入れしてあげたくなるのは自然なこと。


 
2021.11.26

小江戸川越をiB Ladyあやさんと散策。

        文/iB 代表 井上 壯太郎 Photo by Tomonari Nibe
 

美しい秋の一日。着物のあやさんと。

 
iBがあるのは川越のほんとの南のハズレで、父の代に工場建設地にそこを選んだのもおそらくH社への納品の都合といった実利的なことで「川越」という街への特別な想いとかはなかったんだろうな、と思います。
 
川越の街も近年整備されてとても綺麗になって、人気の観光地になりました。こうして歩いていても、江戸の情緒と現代に生きている充実とを存分に感じることができます。

それにしても、旧い街並みがこのように残されていることは地元の方々の並々ならぬ努力の結晶なのでしょう。
旧いものを未来に残していくことの意義というのを強く感じます。
 
鎖国をしていた江戸時代、日本は生活に使う物資やエネルギーのほぼすべてを植物資源に依存していました。鎖国政策により資源の出入りがなかった日本では、さまざまな工夫を凝らして再生可能な植物資源を最大限に生かし、独自の循環型社会を築き上げるしかなかったんですね。
 
 

 
江戸メモ (スマートフォーンでは横位置でご覧ください。)
 

このように、江戸時代にはほんとうに今の言葉で言うリサイクルが徹底され、またサステイナブルな生き方が実際に行われていたんですね。なにもそんな横文字言葉を振り回さなくたって、日本人の心の奥底にはそのような「もったいない」という感性が今もしっかりと息づいているのかもしれません。
 
中でも、これはなかなか便利だと思えるのは『朴歯屋(ほうばや)』という商売です。すり減った下駄の歯を入れ替えてくれ、鼻緒のすげ替えもしてくれる。ついでに新しい下駄も売っていたのだそうです。
 
これ、下駄をオートバイに入れ替えて考えると、内燃機屋やヴィンテージバイクショップっていうのがまさにこういう商売なんではないでしょうか。
 

 
そんなことを考えながらiB Ladyあやさんと川越の街並みを歩いていると、なんだかしみじみと自分の仕事のことを考えてしまいます。この地で旧いモノを未来に残すことを一途に追い求めている自分の会社 iB(株)井上ボーリングの存在意義、というようなことに自ずと思いが及んでくるんです。
 

 
iBがここ川越を選んだのはたまたまだったのかもしれません。でも、今思えば、私どもの理念と考え合わせる時、まことに適切な土地を選んだと言えるのではないでしょうか。旧いものを未来に残していくのは簡単なことではありません。それでも、それを実現している好例を眼前に見せつけてくれる旧い蔵作りの街並み・川越。
 

 
我々もこの川越の街に負けないように、旧い美しいものを未来に残していくことに力を尽くしていきたい。自然とそう思わせてくれるものがこの街にはあります。
そして、それはとても幸せな生き方ではないか、とも思えてくるんです。