•  
                                                                                         

バイクを愛してしまったら、手入れしてあげたくなるのは自然なこと。

 
 
2019.08.23

 先川知香の乗って感じた!
 第13回

GASGAS @ 入間トライアルパーク

トライアルを始めようと、せっかくGETしたのに、2スト、タンク容量約4L、座席なしのトライアルバイクを頻繁に乗るには、トランポを持っていない私には、どうしてもハードルが高く、宝の持ち腐れ状態になってしまっていたGASGAS TX200

 
家の近くでスタンディングの練習ぐらいはできるかな?と、所有する前は思っていたけど、のどかな住宅街の中で、黙々とスタンディングの練習をするというのも、意外に人の目が気になるものです。
 
そんな、こころの片隅にずっとあった「GASGASに乗りたい心」を知ってか知らずかは分かりませんが、数少ない私のバイク友達とも言うべき存在、井上ボーリングの井上社長から「生田目さんが、トライアルパークをオープンしたから行きませんか?」とのお誘いが!しかも場所は埼玉県と、比較的近場。行かない理由はありません。
 
生田目さんというのは、何度か井上社長と参加させて頂いたトライアルスクールの先生で、トライアルだけでなく、ドラックレース、ダート、モタード、モトクロスと、すべてを極めた2輪のスペシャリストと言うべき存在です。
 

 
「21歳ぐらいまで、トライアルを一所懸命やっていたんだけど、成田匠選手に出会った際に、ほかの選手には感じたことのなかった、人間的な性格の良さも含め、この人には敵わないと思い挫折したんですよ。結果的にその感覚は正しくて、成田選手は世界選手権でランキング一桁ですからね。
 
僕はプロになりたいと思って一所懸命やっていたので、本能的に敵わないと感じる選手と出会ってしまったことで、キッパリとやめました。」
 
プロの道をキッパリとあきらめた後も、バイクが好きな気持ちに変わりはなく、そのタイミングで大型二輪免許を取得。友達に誘われたドラッグレースにノーマルのツーリングバイクで参加して、ビリになったことをきっかけに、ドラッグレースを極めます。
 
そしてチャンピオン獲得を機に、ドラッグレースにも区切りをつけ、次は友人に誘われてダートトラックに挑戦。その楽しさにまたもや夢中になり、様々なシリーズ戦に参戦し、チャンピオンを獲得するも、バイクの故障などにより辞めざるを得ない状況になってしまいます。
 
その後は、知人に誘われたモタード、モトクロス、と次々にカテゴリを変えながらも、そのすべてを極め、最後は再びトライアルに戻って国際A級ライセンスを取得。そこから、トライアルの面白さを多くの人に知ってもらいたいと、スクールを開始したという、何でもまずは極めちゃう、めちゃくちゃスゴイ人なんです。
 

 
そんな生田目さんの入間トライアルパークがあるのは、埼玉県入間市宮寺。三井アウトレットパーク入間のほぼ目の前です。
 
ということで、ミニサーキットやモトクロスコース、トライアル場などで一番の問題となる、トイレや食べ物の問題は皆無!着替えまで買いに行けちゃうという最高の環境となっています(笑)
 

 
そんな快適すぎる環境で受けられる、スーパーライダー生田目さんのスクールは、まずは怪我を防止する、ストレッチからスタートしました。
 

そしてストレッチが終わったら、ウォーミングアップも兼ねたスタンディングの練習。

トライアルは、バイクの上でバランスを取り、スタンド無しでその場に静止する「スタンディング」という技?が基本となります。
 
これがかなり難しく、体幹がふにゃふにゃの私では、数秒静止するのがやっとなのですが、上手な人はバイクの上でバランスを取りながら体を上下左右に傾けても、倒れることはありません。

そして、走行スタート。トライアルは、フィールド上に印をつけて作られた「セクション」と呼ばれる小さなコースを、足を着かずにクリアする競技なので、バイクのスピードはそんなに必要ありません。
 
重要なのは、車体のコントロール技術。見ていると簡単そうに見えるセクションも、「そんな角度で曲がれない!」や、「転がっている丸太が、近くで見ると意外と大きくて登る勇気が出ない!」など、思った以上に苦戦するポイントが満載です。

ちなみに、私は1〜2本の丸太は超えられたけど、タイヤが怖くて断念。だってだって、タイヤってゴムだし。乗ったら意外と弾むかもしれないし・・・。しかも、登った瞬間下るじゃん!!!(笑)と、初心者的には自分の心との闘いだったりする要素も、トライアルの面白さ。
 
きっと、これぐらいのタイヤなら、踏み出しちゃえばなんとかなるとは思うんだけど、でも、その後にある埋められたドラム缶を、タイヤ越えをした直後の、不安定な車体で対処できる?など、山や森の中でやるからこそ、超えたい目標以外の状況も把握しながら、チャレンジする必要があるのです。
 
そう考えるとトライアルは、同じフィールドでもセクションを何通りでも難しくすることが可能だし、広場さえあれば永遠に遊べる競技なのかもしれません。

久しぶりすぎるトライアルで、「驚くレベルのへっぴり腰星人」からスタートした私は、「ギリギリバイクに乗れる人類」ぐらいにまで進化して終了!
   
 
最後には、こんな太い丸太まで超えられるようになり、大満足の1日でした。
今回学んだこと。それは、障害物に対してタイヤを直角に当てると、バイクが変な挙動を起こすことが無いので、怖くないという事実でした。
これを知っているだけで、今よりさらに一段階、大きな障害物に挑戦する勇気が湧いてきます。そうやって、1つ1つ自分で決めた目標を自分のペースでクリアできるのも、トライアルの楽しさです。
 
 
そんなトライアルの魅力を教えてくれた生田目さんが、この場所にトライアルパークをオープンさせた理由は、「手軽にバイクで遊べる場所を作りたかったから」。
 
本格的なトライアル場は他にもたくさんあるけど、そういう「ガチ」な場所と競う訳ではなく、本当に気軽にバイクで遊べる場所にしたいと言うことでした。
 
入間トライアルパークの営業日は土日 祝日。平日利用を希望する場合は、年間会員になることで利用可能だそうです。詳しくは、 入間トライアルパークのFacebookページをチェックしてくださいね。
 

いつまでたっても、永遠の初心者だけど、やっぱりバイクは楽しい。
 
 
 

 

 
文/モータージャーナリスト 先川 知香

写真/仁部 智成