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バイクを愛してしまったら、手入れしてあげたくなるのは自然なこと。


 
2020.03.29

個性と大量生産

 写真/井上 演    文/iB 代表 井上 壯太郎
 
先日iB Ladyの新しいコスチュームができて、そのお披露目のための写真撮影を行いました!
 

個性的な3人のiB Lady

iB Ladyはそれぞれ強い個性を持った3人です。
 

なんとも可愛らしい斉藤雅子さん
 

キリッとかっこいい朝倉あやさん
 

ストリートな感性を主張するKKURUMI さん。
 

でもユニフォームを着てもらうということは、個性を主張するというよりは
共通の魅力でiBを引き立ててもらうということになるのでしょう。
 
ユニ=単一の フォーム=形ですものね。
ある意味型に嵌めるということになるかもしれません。
共通の強いイメージを訴えてもらいたい、ということになります。
 
それぞれに強い個性を持った人たちが、力を合わせて一つのことに取り組むことで大きな力を発揮してほしい。それも大事なことですよね。
 
 
それでも、3人がそれぞれ個性を表現するというのは魅力的ではないですか?

iB Ladyの新しいコスチュームを揃って着ていても、やっぱりそれぞれ個性的に着こなしてすごく魅力的です。
人は誰もがみんな違っています。それってすごいことだと思うんですよね。
 

iBが今やっていることと「個性」

さて、話は変わりますがiBは今削り出しの製品を作ることに挑んでいます。
H2ビレットシリンダーが完成し、そして今はRZ350のビレットシリンダーに挑戦中です。
 

H2ビレットシリンダー
 

RZ350ビレットシリンダー
 
 
これ、どうしてそんなことをやっているのか、いったいiBは何を目指しているのかってよく聞かれるんです。
なぜかと言うと、オートバイのシリンダーというものは鋳物で作るのが常識だからです。
 
鋳物は量産性に優れています。たくさん作るととても安く作れるんです。それは素晴らしいことです。
ただ、それ以外の点ではアルミの素材から削り出して作る方が、強度が高く、放熱性がよく、巣などの素材欠陥がなく、均一で、実はあらゆる点で優れたシリンダーを作ることができるんです。
 
でも、そんなことをやっているところは多くありませんから、その良さはあまり広く知られているとは言えません。
 
iBはあえてコストがかかり、誰もやりたがらない削り出しシリンダーに挑戦しています。
 
なぜか。
 

削り出しシリンダーの意義

iBは創業以来、内燃機屋としてエンジン部品の再生修理加工をやってきました。修理という仕事は量産できません。
ひとつ一つの部品の痛み具合をよく確かめて、最適な修理方法を選択して適切な加工を施す必要があります。
iBはそうしてずーっと単品の部品と向き合ってきました。
 
ところが日本ではどうも量産仕事・大量生産に成功しないと認められないというような風潮があります。
どんなに優れたクルマが作られても、人気を得て大量に販売されなければ成功とは認められません。
もちろんビジネスとしてはその通りなのでしょう。
 
そして、大企業というのはその大きな力で大量に物を作り売り捌くことができます。でも、みなさんあまりお気づきではないですが、彼らは実は「大量生産しかできない」んですよ。安く大量に物を作ることはできるけれども、少ない量では作ることができないんです。だからお客様ひとりひとりのニーズには必ずしも応えることができません。
 
大企業は大衆的な物を作ること、大多数の人の最大公約数的な要求を満たすことはできるけれども、ほんとうにひとりひとりのお客様を大事にした製品をつくることには向いていないんです。
 
一方、中小零細企業はその反対です。
例えばミシュランの三つ星のレストランやビスポークの靴屋さん、オーダーメードの最高級のスーツを作るテーラーは巨大な企業ではありませんよね。
(ただし中小企業には2種類あって、大企業の下請けに専念しているところはやはり量産しかできません。そしてそれがほとんどなんです。)
 
iBはこれはもう本当にちっぽけな零細企業です。そのiBがどういう製品を作るべきか、と考えた時、鋳物で大量のシリンダーを在庫して売り捌くというのは、どうもあまり面白くないな、と思うんです。
 

 

ビスポークのシリンダー

いままでiBがやってきたようなそれぞれの部品の減り方に合わせた内燃機加工や、お客様にポート形状を選んでもらって加工してきたICBM® などのように、シリンダーを作るにしても、一つ一つお客様のご要望を聴きながら作るほうがいいんじゃないのか。
それには型を作って鋳物を葺いてしまうよりも、削り出しのシリンダー を作ったらいいんじゃないか?ということなんです。
 
そこに近年の3D CAD/CAM技術の飛躍的な進歩が起こりました。今までよりもずいぶん削り出しシリンダーを作ることの技術的なハードルがiT技術や工作機械技術の進展によって下がってきていることにiBは気づいたんです。
 
ここ3年ほどiBはいろいろなやりかたで3D加工の技術を蓄積してきました。いよいよその技術で販売できる製品を作りたいと考えています。そして、それにはICBM® の技術も深く関わってきます。iBのいままでやってきたことの集大成としての製品にビレットシリンダーがなることを僕たちは期待して、いまわくわくしながら仕事をしているところなんです。
 
iB Ladyたちがそれぞれ魅力的な個性を発揮してくれているように、iBの製品・技術もそれぞれ異なる魅力を放って輝いてくれたらどんなに素敵でしょうか。
 

 
ウィリアム・モリスが提唱した「アーツアンドクラフツ運動」が目指したような、アートと生活が一致するような世界を、iBも目指していきたいと思っているんです。
 
「エンジンで世界を笑顔に!」 iB (株)井上ボーリング
 
 
 
 
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