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バイクを愛してしまったら、手入れしてあげたくなるのは自然なこと。

 

 

「いつかレギュレーションが一切ないイベントをやってみたいんだよね。」

もう10年以上前に2日間開催だった真夏の[DIRT A.C.T.S. UNION VINTAGE MX MEETING]モトクロスビレッジでキャンプした
夜も遅くに「用務員」こと野沢さんがぼそっと僕に言われた言葉です。
この言葉の意味がわかる人がどれだけいるかな〜と思いますが、
「なぜレギュレーションが必要になるか」を考えてみるといいと思うんです。
 
 
日本にヴィンテージモトクロスを根付かせた伝説のイベント
DIRT A.C.T.S. UNION VINTAGE MX MEETING
今回Far East Scrambles MTGに参加して僕はA.C.T.S.の夜を思い出さずにはいられませんでした。
僕にはF.E.S.M.がA.C.T.S.の理想を継ぐもののように思えたんです。
 

 
会場のそこここに「SLOW DOWN」の掲示が。イベントが発するメッセージはほぼこれが全てです。(^o^)
主催のM&M's御林さんのオープニングメッセージでも保険への加入と「ゆっくりと愉しみましょう!」という言葉以外にはなにもありませんでした。
イベントコンセプトは
「しゃべり8割、はしり2割」なミーティング!!
なんて素敵なコンセプトでしょう。(笑)
 
 
F.E.S.M.にはコース上の台数をコントロールするためかクラス分けはありますが、レギュレーションと言われるようなうるさい規則はありません。
 
 
ちょっと考えてみてもなにかイベントをやろうという時に、一応レース形式でなにかやる、というのはやりやすい方法なんです。「よ〜い、ドンって競争して速かった人を表彰します。」って言えば、そこでなにをやっているかは誰にでもわかりますよね。
ところが、「みんなで集まってグダグダするんですけど、愉しいから来ませんか?」って言われてもなんだか怪しいじゃないですか。(笑)
 
でもね、60年代のプレスフレームの小排気量車とかで土の上を走るんですよ。年式も排気量もまちまち。そこで他人と競う「速さ」ってなにか意味があります?他にもっと大事なことや愉しいことがありますよね。
 
 レースをやるとなると公平性というものが求められます。公平にレースをやるにはどうしてもレギュレーションが必要になります。人気が出て競技のレベルがあがるにつれ、レギュレーションも厳しく細を穿ったものにならざるを得ません。こうして愉しいイベントがつまらない競争ごとになっていってしまうんです。
 
「競争の20世紀」が終わって「協調の21世紀」が始まってもう20年が経ちます。2020年ですよ、今は!
この時代にまだ人と争うことにしか面白さを見出せないという感性では時代に取り残されてしまいますよ。もっといろんな愉しみがこの世界には溢れています。
僕のような年寄りにそんなことを言われるのは心外ではないのでしょうか。(笑)
 
 
今回iB井上はCL50(ボアアップして73cc)と一応いつもVMXで使っているBULTACO Pursangも持ち込んでみました。でも、結局走らせたのはCLだけでした。
 
正直CLでの走りにはあまり期待していませんでした。なんと言ってもパワーが足りないだろうと思っていたんです。ところが実際走ってみるとこれが愉しい・楽しい!!
コーナリングスピードはPursangで走る時より速かったんじゃないかと思うくらいです。というのもパワーがないので一度ブレーキングしてしまうと加速するのが大変なんです。そこでなんとかスピードを落とさずコーナーを抜けようとします。ずるずると滑りながらもバランスをとって限界を試すんです。これが愉しい!最高でした。(^o^)
コースが比較的空いているので、思い切って遊べました。
 
他の人と競い合うとかではなくってね。
 
 
会場にはコースを走るというわけでもなく、多くのトライアンフ乗りのみなさんが集結して暴動(RIOT)を起こしてました!(^o^)
こういうことも会場の雰囲気をとても盛り上げてくれますね。
 
また、おしゃれキャフェ「Multi Cafe」さんが出店、パドック内で美味しいカフェラテを作ってくれました。
オーストラリア火災への募金もされていたので、カフェラテのお釣りはこちらへ入れてステッカーをいただきます。
 
主催のM&M's 御林さん。なんか雰囲気あるんだよなあ。
左が御林さん、右があのA.C.T.S.の発起人のひとり川崎ユニオンクラブの池山さん。来てくれていたんですね!
A.C.T.S.の理想が引き継がれていくとしたら、素晴らしいことだと思います。
 
 
 
参加数は70台以上だったということで成功ですよね。
レースでもないイベントにちゃんと楽しみをみつけて参加してくれる方々がこれだけいること。素晴らしいです。みんな大人だし、カッコいいです。
 
もちろん、レースはレースで愉しいんですよ。ワクワクします。
でも、それだけがすべてでは全然ないでしょ?
目を三角にしない愉しみかたを下に見たり、受け入れることができない偏狭さや不寛容な感じが僕は好きになれないんです。
 
実は今回あらためて御林さんに取材をお願いしたわけでもなく、僕の勝手な思い入れを書いてしまいました。的外れだったらごめんなさい。あるいはみなまで言ってしまうのはかえって粋ではないですよね。
江戸っ子の用務員さんに見られたら、ちょっと恥ずかしいな。
 
でも、僕はFESMの素晴らしさを少しでもお伝えしたくて書かずにはいられませんでした。次回の開催を心から待ち望んでいます。盛り上げるためになにかできることがあれば、嬉しいです。
 
 
 
「エンジンで世界を笑顔に!」 (株)井上ボーリング