2019.10.05~06
砂遊戯
ビギナーから楽しいビーチレースの魅力
【特別寄稿】
写真・文/高橋絵里(Office Camelin)
2019 年 10 月5日~6日、第 10 回神栖市 2 輪ビーチレース 波崎大会が茨城県神栖市の波崎 ( はさき ) 海岸特設会場で開催された。
ビーチレースということは砂浜を走るんでしょう? それはちょっと大変そう・・・と思いますか? 砂と格闘する上級者向けイメージがありますか? ところがこの日はビギナーやファンライダーにも向けたイベントで、可愛らしい 50cc や 80cc のファンバイクもいれば、FTRやセローといったストリートバイク、 20 年前、 30 年前の懐かしいモデルもいて、初参加者も多く、普段は舗装路しか走らないというライダーも多い。その一方ではもちろんエンデューロやモトクロスのレーサー群も張りきって、秘かに表彰台狙いの人から砂と戯れたい砂マニアの人、初砂な未知への挑戦の人まで、実にバラエティ豊かなバイクとライダーが集まった。
ここ波崎海岸は砂が比較的引き締まっているため、どんなライダーにも走りやすいのがメリットで開催第 10 回記念の新会場に抜擢された。従来開催の日川浜 ( にっかわはま ) 海岸がディープサンドのテクニカルコース、対して波崎海岸はビギナーにも優しいマイルドコースという、理想的なタイプ別で思いきりビーチで全開できる、神栖市は素晴らしい。
一帯は風力発電が盛んな地域で通常は強風なのだが、試走日の土曜は穏やかなビーチ日和で「海はいいねぇ ♪ 」などと言いながらのんびりムード。日曜の暴風を誰も予想できず。
コースはロングストレートとコーナーの連続で全長およそ 3500 m、レースは 50 分を午前と午後の2ヒート。 50 分が長いか短いか、 3500m が辛いか楽しいかは走ってこそ答えが出る。レース日はさすが風力発電のメッカだけあってどんどん風が強まり、さらに海からの風が波を岸に寄せ上げた。波打ち際がぐっと上がり、ライン取りによっては波しぶきを被りながら疾駆するライダー達。おまけにあちこちで砂嵐が渦巻いて視界はけぶり、サバイバルレースの様相を呈した。なのに笑って走るライダー達。
ビーチレースの魅力は「ここでしか味わえない特別なシチュエーション!」と誰もが言う。地面は砂だけ。傍らに大海原と水平線。潮の香り、カモメの鳴き声の中でひた走る時間。「エイヤっと開けていったコーナーで上手く決まった時の快感!」もまた然り。刻一刻と様相を変える砂の路面は、周回のたびに異なるテクスチャーで出現してライダーのチャレンジ心を刺激する。潮の満ち引きも波の長さも、大自然の変化すべてが堪らない。
恒例イベントとして定着した神栖ビーチレース、来年は3月に日川浜大会が、そして秋に波崎大会が開催予定だ。日本の『ル・トゥケ(フランスの世界最大ビーチレース)』伝説は始まっている。
イベントを運営するウインズアサノの浅野社長夫妻が昼休みのパドックを回ってエントラントに「どう?大丈夫ですか~?」と声をかける。スタッフ陣はアサノレーシングチームの皆さん、会場は明るく温かい雰囲気に。
(イベントデータ)
主催/神栖市 2 輪ビーチレース実行委員会
後援/茨城県神栖市・神栖市観光協会
運営協力/アサノレーシングチーム・ウインズアサノ
*レース開催日以外は砂浜をオートバイで走行することは一切できません。
・ビーチレースの詳細はウインズアサノ公式サイトをご覧ください。
ウインズアサノ